今朝、繁実師から電話がありました。例によって声が沈んでいます。「今度は何が起こったのだろう・・・」と構えて聞いたみたところ、「Ocean of Tears は不受胎でした」という連絡でした。
Ocean of Tears の2番仔が生後一ヶ月で亡くなるという悲劇をうけて、種馬の変更を申し出たという事は以前に書きましたが、その時は既に God's Own が昨年に続いて交配されていて、ジタバタしてもどうにもなりませんでした。しかし、不受胎となると話が違ってきます。
ただ、牧場側の言い分として、シンジケート株を割り当てており、今更変更されるとその株が11月の半ばという種付けシーズン後半に宙に浮く事となり、それは非常に困るというお話がありました。至極、もっともなお話です。また、繁実師からも、今から変更すると牧場の心象は最悪となり、繁殖牝馬の移動を考えないといけないかもしれないというお話がありました。
さて、これどうしたらいいんでしょうね。
私達の言い分はシンプルです。全姉が生まれてすぐに死んでおり、当然Pedigreeにも「Died」と記載される。どうして死亡したのかの詳しい報告もないし、血統的な理由によるものではないかと推察せざるをえない。なので、クロスのきつい同じ種をつけるのには抵抗がある。しかも、フォールシェアにすると、母馬も仔馬も自由に売買が出来ず縛られる事になる。こういう感じです。
悲惨なのは、板ばさみの繁実師なのですが、私達も結構悲惨な目にばっかり会ってきているので許容するのにも限度というものがあります。
まー、God's Own の種付け権利が宙に浮いてこまるというのは理解できるので、Kanandah Queen につけるから、それとバーターにして Ocean of Tears を買ってくれなどという交渉もしたのですが、基本的に彼らは実に堅実といいますか、自らはリスクを取らないという方針を徹底しているので、話をすればするほど相手側に有利な条件でしか、話がまとまらなくなるというのがこれまでの経緯でした。
いや、もう本当に全然期待にこたえてくれない Ocean of Tears のせいで、周りの人がトラブルにばかり巻き込まれてしまうってのは、これどうにかならないんでしょうかね・・・。
んー・・・
とりあえず、Ocean of Tears は2度目の交配が Ready という状態らしく、早々にどうするのか決めないといけないのですけど、基本線としては、やはり種牡馬変更という事を模索する事になります。
そうなる理由の一つは、God's Own の出足がにぶいという事。まだ2歳と3ヶ月というこの時期ですので、2歳種牡馬成績なんてのはたいした意味もないのですけど、それでも厳然としてランキングというものがあるわけですから、良いに越したことはありません。Mossman なんて7位につけてるわけで、やっぱりそれなりの種牡馬なら堅実に成績はあげてくるものです。今のままでは、3万ドルの種付け料にみあった成績をあげれるかは微妙です。
2つ目は、Yallambeeって大手の牧場ですから、やはり高級牧場といいますか、請求書に書かれている額が他の普通の牧場と比較すると3割〜4割は高いのですけど、それだけの結果を出しているのかというと、そこもちょっと疑問であるという事です。昨年は Southern Image 産駒が大怪我をして、「それで種付け料を支払えるわ」ぐらいの額で獣医費がきていますし、今年にいたっては当歳が生後一ヶ月で死んでいます。勿論、運だけの問題で牧場に過失があるわけではないかもしれませんが、それにしても、謝罪の言葉というものは一切ありません。それは文化的なもので、不誠実というわけでもないという事を私は理解していますが、それにしても「ぜひともお願いしたい」と思うだけの理由がない事もまた事実ではあります。
3つ目は、確かに迷惑をかける事になるけど、こっちもOcean of Tears 、Kanandah Queen、そして香港スプリント連覇の期待がかかる Inspiration の姉・La Samba と期待の大きな3頭の繁殖を預けて、さらにGod's Own を3回種付けしています。落とした額をトータルで見ると、かなりのお金になるはずで、1回ぐらいのモラル上の問題については、先方に泣いてもらっても、そこまで惨い事をしたことにもならないだろうと思うのです。ぶっちゃけ、向こうはアホみたいに儲かってるわけで、私らがそこまで義理立てすることもないだろうとおもうのですよ。ま、要するに契約上問題がない変更を申し出ているだけなんだから、しらんがなという事ですね。当歳が死んだというこっちの事情を少しは考えろと。
でもねぇ・・・これ種牡馬を変更するたって、「じゃあ何にするのか?」という問題が次にでてくるわけですよ。
最初に検討していたのは Strategic なんですけど、もう古い種馬ですから、評価というものは既に定まっています。私の評価は、産駒に活躍馬も多いし、良い種牡馬ではあるのだが、地味すぎてセールで高値で売るということに関しては余り期待できないという感じです。ただ、 Ocean との配合では、アウトクロスになるという貴重な種牡馬なのです。なので種付け候補一番手の評価だったのですが、ネックとなるのが種付け料で、公示価格が$16,500。ぶっちゃけどう考えても高すぎです。この半値でも牝馬はろくに集まらないはずで、産駒平均取引価格が2万ドルちょっとなのに、こんな種付け料を払えるわけがありません。
はぁ・・・もうため息しかでませんわ・・・
その後色々調べてはみたものの、ビクトリア州にはダンジグのクロスがかからない安価のそこそこ期待できる種牡馬なんてやはりいませんでした。
で、まー、共有者の方々とも色々相談した挙句、結局この種馬を Booking するはめに・・・。ブリダーズC.スプリントで3着に負けてるんだけど、展開のアヤってだけで、これがどう見ても一番強かったというのがその理由です。これなら GI 2勝しているし、BCスプリントも勝ってたと考えると、$16,500という種付け料でも無理やりに納得できるかなと。いや、心の中ではボッタクリすぎだと思ってますけど(笑)。
というか、今年は太郎さんが$55,000もする Street Sense を同じく Darley の種牡馬達からチョイスしてるので、合計すると7万ドル強の支払いが発生するわけですけど、こうなると結局 Darley との値引き交渉は失敗した形になるわけで、いや、もう本当にこの国の競馬は「儲かる組」と「損する組」がくっきり2分される感じですね。
個人的には、そういったものは知性でもなんでもなく、勝ち組になって高笑いをしたところで本来は何の意味も持たないという考えなので、適正な種付け料で良質の種馬を供給して欲しいと強く望むわけですが、まー、本当にいいようにお金をむしられるだけというのが現実でどうにもなりませんな。
Street Cry 産駒となると、もう一頭 Street Hero という種牡馬がいまして、こっちも考えたのですけど、USAでの種付け料を見ると、BossはHeroの2倍でして、支払い条件もBossはライブフォールなんですけど、Heroがフリーリターンだったので、もうリスクはこれ以上取れないということでBossの方となりました。
いや、種馬の配合も、「売れる種馬より走る種馬を!」とか何度も聞いたことがあるんですけど、まー本当に「お前、一回でも実際にやってみろよ」としか言えませんな・・・。つーか、こんな種馬なら子供を取るということになるだろうし、結局Oceanを売って身軽になれそうにもありません。
オーストラリアで繁殖なんて持つもんじゃないですよ。日本なら、こんな150万円近い種馬を嫌々つけるなんてことには100%なりませんから。メイショウボーラーで十分だぐらいの感覚なのに、こんな種付け料を支払うはめになるわけで、オーストラリアの種牡馬はピンからキリまでぼったくりと言えるんじゃないかと思います。
投稿者 Jyoukan : November 10, 2009 08:38 PM