最近、やたらとお上が公権を発動している。介護事業、英会話教室、食肉業、昨日はエステサロンとその分野は多岐にわたる。私は根っからの関西人気質なので、「お上」と聞いただけで、「とっとと氏ねや」という反応をしてしまうのだが、性質の悪い連中というのは、いつの時代にもいるもので、「後ろめたい事はしない」という信念を持って生きている人達にしてみれば「もっとやれ」というのが偽らざる心境だろうと思う。
いつ頃からこういう動きがでてきたのかと考えをめぐらせると、その発端はおそらくホリエモンや村上ファンドが国や法律に対して相当にナメた真似をした辺りであって、経済産業省も「企業を監視する」という本来の仕事をようやく始めたという事なのかもしれない。私はホリエモン、村上ファンドについて、彼らが「金こそ全てに優先する」という動きをしていたとは思っていないが、副作用的に悪徳に近いような事をしている企業なりが警告を受けるようになったのは歓迎すべき事だと思う。
一方、日本の競馬を管轄する農林水産省はというと、いくら首をすげかえても大臣の不正会計にまつわる疑惑が後をたたず、その実質的采配は官僚が好き勝手やっていると考えるのが自然だろう。そのせいもあって天下りの温床にもなっており、こんな監視が行き届かない省庁がわが国の競馬を管轄しているのだから、未来にわたっての競馬理想像を追求して、その実現のために農林水産省がその「公権」を発動するといった動きにならないのは当然なのかもしれない。
JRAは、公正性をうたい、同時に暴力団関係者などの排除、八百長の防止といった「健全な博打興行者」としての性格を強調しているが、本当はその暴力団関係者を本質的なところで排除しようという動きはしておらず、むしろノミ行為を生業としているような業者を養っているという現実がある。
私がそう断言する理由は、25%という高い馬券の控除率をJRAが一向に下げようとしないからで、世界的にも類を見ないようなこの「ボッタくり馬券」を是正しようとしないのは、「公正性」よりも「金こそが全てに優先する」というのがJRAの本音だからだろう。
馬券の総売り上げ額から一定の控除を行って、残りを配当とするようなオペレーションを取る事ができないようなノミ屋にしてみれば、主催者に控除率を下げられるという行為は致命傷となる。海外の競馬主催者の中には、「控除率を下げる」という行為こそが「競馬の健全性を高める」という先進的な経営信念の元にその運営を行っているところもあり、それと比べるとJRAのそれはいかにも時代遅れと言うしかない。
日本の競馬は、国庫に財政的な寄与をするというのが前提に行われているというのは理解できるのだが、競馬が本来持つ娯楽性であったり、スポーツ性を余りに無視したような動きをすると、馬券を買う側の人間も、そんなにせっせと財政的な寄与をする気が起こらなくなる。ましてや、それが天下りの退職金になっているようでは、レースだけ見る分にはタダなのだから、馬券なんて買わなくても競馬を楽しめると気付いた人たちがその後どういう行動を取るかぐらいは、容易に想像がつくような話ではないだろうか。
競馬の開催も経済的な事業の一つには違いないのだから、そのトップには経営者としての手腕と実行力が必要なのだが、岩手の問題を見てみても、その運営はいかにも「公務員的」であり、それはあたかも「行政サービス」のようである。唯一例外といえるのが、昨今の南関東4場における競馬開催者、主にTDKで、これは競馬をエンターティメント産業として捉えようという至極真っ当な動きをしていると言えるだろう。
私は、日本競馬のグランドデザインとしては、「JRAがPAT・場外にて地方競馬を含めた日本の全ての競馬開催における馬券をオンラインで販売し、そこで得た利益については各競馬場保持団体に分配するが、自場販売した分は開催者が総取りする」という形が理想的と考えている。この考えは、現在進行形で発展する世界的な競馬開催に関する経営理念とも合致し、実際のところ、オーストラリア、香港、シンガポール、マカオ、南アフリカなどは相互販売を実際に開始、もしくはこれから開始しようとしている。
結局のところ、日本の競馬というものを冷静に観察すると、その調教技術、調教施設、競馬に携わる人材といった所は、既に世界でもトップクラスというところまで来ているのだが、何のことはない、競馬の発展性を誇大に喧伝している競馬主催者、すなわちJRAこそが癌であって、その是正に正しく「公権」が発動されないという現状こそが最大の問題なのであろうと思う。
JRAが腐っているのは、一団体の腐敗に過ぎないのだが、それが糾弾されないというのは社会の腐敗である。もっと分かりやすく言えば、例えば、口をあんぐりしている馬券が当たらない競馬予想家が恥ずかしげもなく的ハズレな事を言っているのは、その個人が阿呆なだけなのだが、それに対しての反論が全く無いというのは、周囲も同様に阿呆であるという事になる。そういう意味では、美味くもない餌に大量の競馬ブロガーが釣られたというのは、まだ多くのマトモな人が「現実を正しく把握する力」を保持しているという事であるから、これは非常に意味のある事であったと思う。
この件に関して少し書き足すと、商業的マスメディアというものは、多くの読み手に需要がある事しか取り上げない事が多いから、特に競馬開催に関する突っ込んだ討論であったり、JRAへの本質的な要望、はたまた「競馬の理想像」などといった事は通常扱わない。そういうニッチな部分での、情報交換となると、これはもうBlogをはじめとする「IT」の独壇場であり、そこには多種多様の「真言」があると考えるのが自然である。
そういった事すら理解せずに、「ブロガー程度の責任でやるなら」という文言まで使った、前述の開いた口がふさがらない阿呆は「メディア関係者ならもう少し勉強してくださいね」というか、「おまえの辞書に責任という言葉が載っていたとは意外だった」という冷笑なりが浴びせられるのは、これまた自然な事と言えるだろう。
話があちらこちらに行ったが、話を戻すと、「公権」というのものは非常に便利なもので、究極のワンマンでありながら民主的でもある。そして、個人的な利害を超越したところで働く最も大きな力でもあるのだから、今の硬直した日本の競馬を変えるまでの力があるというのはまず間違いないところだ。そして、その公権を行使するかに影響するのは、世論であったり、民意であったりする面もあると思う。
日本の競馬を直接的に変える事ができるのは、おそらく国なりの機関しか存在しないだろうが、変えようという動きを作れるのは競馬ファンだけかもしれない。このまま馬券の売り上げが減り続ければ、JRAも「顧客のニーズは何か?」と考え出すだろうし、国際化に伴って付随する少なからずの変化もあるだろう。
競馬ファンは、馬券を買っているだけではない。
競馬主催者は、馬券を売っているだけでは立ち行かない。
今月号の優駿に書かれていたコピーで、「夏競馬が面白くないなんて誰がいった?」というのがあったが、今のままでは競馬が年中面白くなくなる。今週末は、カノヤザクラが出てくるから、私にとっては面白い競馬であるが、それもいつまで続くことか。
大岡越前守でも遠山の金さんでもいいので、競馬の名奉行の登場を強く望む次第である。
水上氏の批判をしているみたいだが、
水上氏はJRA批評の最たる人で、今回あなたが書いている主張と全く同じことをしている人だと思います。
水上氏のJRAへ取材した著書とかの存在をご存知ないのかもしれませんね。
あと、ブロガー程度の責任と書いてあるのは、「批評を批評する後乗せ批評」に対してのことだとしか読み取れないと思います。私にはあなたの主張と水上氏の主張は同一だと思います。単に個人的な好き嫌いなのでは?
2chの水上学スレから来ました。
これのどこが水上個人を批判したものなの?
こんにちわ。今日8/13付けの拙記事の末尾にて浄閑さんの上の記事を一部引用の上、感想をほんの少しですが書きました。TBを受け付けておられないようなのでコメント欄にてご報告。
ちなみに「変えようという動きを作れるのは競馬ファンだけかもしれない」は大変励みになりますね。私もそう思います。
Posted by: BIRD : August 13, 2007 11:12 AMおはようございます。
>>クレシェンドさん
「水上氏はJRA批評の最たる人」
???
私は確かに氏の本などを読んだ事はありませんけど、Blogを読む限りは「何もわかっちゃいない」という評価が妥当だと思いました。
「私にはあなたの主張と水上氏の主張は同一だと思います」
人にはそれぞれ読解力というものがあるとはいえ、どこをどう読めば同一の主張になるのでしょう?
丁度、BirdさんとかBrain Squallさんとかもこの件に触れてますので、もう少し客観性を深めるためにも、他のいくつかのBlogもお読みになってから再度いらしてください。
>>Birdさん
おはようございます、お返事遅れました。
丁度、JRAの理事長も初めて天下りではない人に代わったらしく、今後少しづつでも良い動きが見られるかもしれないですね。
読んだ事無いなら批評できないでしょ?
氏の本にはあなたとほとんど同じことが書いてあるんですけどね。大笑いですな。
クレシェンドさん、こんばんは。
私はほとんど活字中毒者でして、競馬関連の本は多数読んでいるのですけど、さすがに水上氏の本を読む気にはなれませんね。はっきり金の無駄でしょうから。
そして、確かに読んでもないですけど、水上氏が私と同じことを書いているとは思えないですね。本をお書きになった時期とBlogを書いていた時期とで、考えがまるまる変わったとかならともかくも。
とりあえず氏の指摘している事と、私が書いた内容とで被っている箇所をご存知なのでしたら、どんなとこが被っているのか教えていただけないですかね。
私が大笑いなのか、あなたの読解力が大笑いなのか、それで分かるんじゃないですか?(笑)
Posted by: 浄閑 : August 20, 2007 10:25 PM