「ダービー馬のオーナーになるのは、一国の宰相になることより難しい。」
チャーチルが言ったという有名な言葉です。
しかし、果たして本当にそうでしょうか?
「ダービー馬のオーナーになる」という目的を達成するために有効と思われる一番確率の高い方法は、おそらくダービーの前日に一番人気の馬をトレードで買い取ってしまう事でしょう。今年の日本ダービーで言うと、オファーを出す対象馬はフサイチホウオーという事になりますから、それをやったとしてもダービーオーナーにはなれなかったわけですけど(笑)。
まぁしかし、それにしても、実際にそういう事が実現するかどうかは別として、個人的には「ダービー馬のオーナーになる」という結果だけを求めるのならば、基本的には莫大な経済的成功をおさめる事さえ出きればいいわけですから、「ダービー馬のオーナーになるのは一国の宰相になる事より難しいか」というと、普通に「そんなこたぁない」と思ってしまいます。多分、5年ぐらい連続して一番人気の馬を毎年20億円とかで買ってれば、1頭ぐらいは勝つんじゃないですか。それに、ぶっちゃけた話、フサローが内閣総理大臣になることもまずないでしょうしね(笑)。
最近、アドマイヤムーンが40億円程でゴドルフィンからトレードのオファーを受けたそうですけど、「走る馬を手に入れる事ができる確率」ってのは、先ほど書いたダービー馬候補のトレード話の例に漏れず、競走馬がこの世に生を受けてから後になればなるほどその確率は100%に近づいていくわけですから、ダービーとまでは言わなくても、GI馬のオーナーになるなんてのは、基本的にはお金をたくさん持ってれば、そんなに難しい事ではないと思うんですよね。
早い話が、ゴドルフィンの上をいく50億円とかでアドマイヤムーンにオファーを出すことが可能な金持ちならば、アドマイヤムーンでGIの一つや二つぶっこ抜くなんてわけもないわけです。2年前に、後にGIを勝つ Perfect Promise がセールに出てきてましたけど、あれなんて今思えばAU75万ドルでしたし、1億円未満でもそれなりのお金を用意すればGIを勝つぐらいなら簡単だって事ですな。
しかし、こう考えていくと、ダービーの勝ち馬を当日のパドックで見抜く事が出来ないなんて人は、もっとも確率の高い状況下でさえ、その「相馬眼」がアテにならないという事になりますから、結局のところ、仔馬の時に走る馬を見抜くのは不可能であるという結論を出しても良いような気がします。まぁ、馬券で封緘帯の配当を受け取ったことすらないなんて人がする相馬は、なんら実効的ではないだろうとは言えると思います。
結局のところ、勝巳氏がAUで購買した馬の履歴とその後の活躍度合いを検証しても、「一流種牡馬の産駒で馬体の良い馬を買う」というのがもっとも確実で、そこには大したヒネリなどは無いのではないかと私は考えます。問題となるのは「採算性」なのですけど、これは実は相馬という要素とは元々あまり関係がないのかもしれません。
話を戻して、アドマイヤムーンのトレード話ですが、この手の話題になると必ず「オイルマネーの脅威」とか「金の力で活躍馬を手に入れるのか」などといった批判がついてきますよね。しかし、それを言うならば「エンドスィープの子供を1600万円で買う」ってのも、金の力で活躍馬を手に入れようとした行為なわけで、私らのような1600万円の馬なんてそうそう買えない層からすると、「金の力で素質馬を落札しやがって」というのと次元は違えど同質の話なんですよ。ま、要するに競走馬の取引というのは、そういうものであって、それを外野がとやかく言うのは ヤッカミカコワルイ ということですな。
いや、私は最近思うんですけどね。結局のところ、競馬界のパワーバランスってのは、「良い種牡馬を持っているかどうか」に尽きると思うんですよ。そういう意味では、セレクトセールで高額馬を購買している層なんてのも所詮は社台グループの掌の上で遊ばれているだけで、実はあんまり大した存在じゃないのではないかと、やっぱり太郎さんみたいに自己所有の良血牝馬にいきなり Bernerdini を種付けするとか、そういった層の方が凄みがあるよなぁと、そんな感想を持ちます。
だって、その Bernerdini の仔が普通に強くて、しかも種牡馬としての能力が脅威的に高かったりしたら、競馬界の血統地図を塗り替える可能性があるわけで、そして、その地図をどう塗るかは太郎さん次第になってくるわけです。最近、AUにおける Fusaichi Pegasus 産駒の代表格である Haradasun が Coolmore に半分買われたそうなんですけど、Coolmore にして「優秀な種牡馬を他者にもたれる事だけは避けなければならない」という動きをしているわけです。
んー、一つ言える事は、勝つか負けるかという結果がどうなるかは分からないですけど、とりあえず自分が我慢できる出費内で自家生産を行う方が、主導権を取れるという意味で馬主としては楽しいかもしれないという事ですかね。問題は「後になればなるほど活躍馬を手に入れる確率が上がる」という原則を考えると、生産ってのは最も活躍馬を手に入れる確率が低い手法という事になるという事実なわけですけれども(笑)。
まぁ、多くの馬主さんが実際には滅多に現役馬のトレードを行わないという事からも分かるように、結局馬主ってのは、確率の高いところで勝負をしてても面白くないんでしょう。低い確率で当てるからこそ面白いと。そう考えると、多くの馬主さんが、揃いも揃って馬鹿ぞろいで、儲けさえすれば良い馬のプロ達にとって格好の餌食になってしまうというのも理解できるというものです(笑)。私の場合も、似たようなものですけれども、「確率の低いところで勝負に勝つ」というのは、そのまま賭け事の醍醐味でもありますから、なんとか今のまま勝負勘を磨いて、どこかで活躍馬を得たいという想いはありますね。
なんか話がアチコチに行きましたが、やっぱリダウツの仔でも買わない事には、勝負にならんのかなというのが、ようやくわかってきたように思います。いや、もう本当に、馬の血統ってのは心底重要なんだと最近よく思いますね。
投稿者 Jyoukan : July 20, 2007 09:55 AM