July 06, 2007

満を持して

既報の通り、ダーレージャパンがJRAにおける馬主資格を取得し、早ければ今年の8月からでも中央競馬に参画するそうです。

以前に、日経の野元記者が「脅威か福音か ダーレー・ジャパンと日本競馬」というコラムを書いていましたが、実際のところ、日本の競馬にとって「脅威」になるのか、それとも「福音」となるのかは今後の動向を見守るとして、とりあえずダーレージャパンによる日本競馬への干渉という動きを、単に自分にとって損か得かという視点から「外資の侵略」と決め付け、戦わずして敗北を認めるような論調であった輩は「アイアムカツラ」か「アイアムマケイヌ」というような馬名の馬を最後に、その公約通り二度と馬を買わないでいただきたいものです。岡田総帥風に言うと「馬をお持ちにならないでいただきたいのです」といったところでしょうか。

私は、日本の馬主資格については言いたい事が山ほどあるのですが、今回の事で思ったのは、「建前論ばかりで馬鹿ばっかりやってるからこうなる」という事なのですね。

いや、例えばなんですけどね、ダーレージャパンが実際にどういったオペレーションをするのかという話は別として(あくまで仮定の話として)

1. A殿下がダーレージャパンに5000万円する繁殖牝馬を100円で売る。
2. ダーレージャパンが5000万円で買ったオウサマキングオーをJRAで走らせるよう手続きを行う。
3. A殿下とダーレージャパン間で、オウサマキングオーの賞金についてはA殿下にキックバックするよう内内で取り決めをする。
4. オウサマキングオーが一億円稼ぐ
5. ダーレージャパンが一億円する繁殖をA殿下に100円で売る。

もし、こういったオペレーションが行われた場合、実に壮大なスケールで名義貸しが行われるという事になります。勿論、こういった事は、A殿下をA社長に、ダーレージャパンをD牧場に名称を変えれば、国内でいかにもありそうな話になるわけで、別段外資だから発生するといった類の話ではありませんけど、そのスケールが半端じゃなくなるんですね(笑)。

まぁ、実際のところは、一国の王様がそんなチンケな事をするはずもありませんが、「日本の競馬界が持つ本質的な矛盾」というものが顕在化して、色々な方面で地殻変動を起こす事になるだろうという予測をする事はそう不自然なことではありません。

「ダーレーの参入によって、弱小個人馬主は淘汰されてしまう」というコップの中の嵐については、もし仮に淘汰されたとしても、大勢の競馬ファンにとっては何の関係もない事ですから、そんなもんは綺麗さっぱり淘汰されれば良いのです。

「馬主資格」という事で言えば、「馬が好きな人達が馬を持てる環境」でさえあればいいわけで、赤字ばっかり続いて馬主が続けられないというなら馬主を辞めればいいわけですし、辞めないまでも頭数を減らすなりして対処していけばいいだけの話だと思いませんか。淘汰うんぬんの議論をするなら、もっと他に基本的なところでされなければいけない問題がたくさんありますよね。

馬主資格に関して更に言うと、むしろ決定的に問題なのは「一口馬主クラブ」の存在なのではないかとも思うのです。

この「一口馬主クラブ」というのは、実にクラブ運営者にとって使い勝手の良い錬金術で、建前上は投資ファンドという形をとりながら、本質的なところでは、あたかも共有馬主の募集のような形態で経済活動が為されています。

本来、投資ファンドということであれば、運用者の投資実績というのは、おそろしくシビアな目で見られるのが当然なわけですけど、競争馬ファンドの場合、その運用に大して監視であったり、監査であったりするものがろくに働きません。仮にあったとしても、余り意味を為さないのですね。

・競争馬になれそうにない馬をファンドの対象として募集する
・クラブ運営会社に関連する育成施設に育成馬をいれ、過度な経費を計上する
・引退の時期などが投資者よりも、クラブ運営者の都合によって決定される
・未勝利に終わった馬を地方で使いたいからと、仮に500万円のオファーでクラブ運営者に他者が購買申し込みをしても、関連会社の社長などに安価で販売する。

これらの行為は、当然投資者の利益に反するわけですから、投資ファンドとしては違法すれすれ、もしくは違法に近いような行為だと思うのですが、一口馬主の世界に長くいる会員さんであれば、「初めて聞いた」というような事はまず無いような話なのではないでしょうか。

つまり、日本の競馬業界には、その裾野を構成している多くの競馬ファンを「食い物」にしているという悪しき風習、いやいっそ腐臭とでも変換したくなるような現実がまだまだ残っているのです。

いや、私も、明後日からセレクトセールに参加するので、あんまり偉そうなことを書いていると現場で殴られかねないので、少し自制しないといけないのですけど(笑)、やっぱり競馬業界も一般の企業群と同様に、コンプライアンスであったり、モラル向上であったりを模索して、少しは業界に自浄作用が働くようにしないと、既にもうごまかしきれないという段階に来ているのではないかと思うのですね。

まぁとはいえ、現実的には自浄作用なんて働きません。おそらく、「ダーレーによるJRA参入」という大きなパワーベクトルがもたらす副作用で、ほんの少しだけ、そういった自浄作用的なベクトルが発生するといった程度でしょう。あと、興味深いのは、最近色んな企業が経済産業省であったり、金融庁に晒されているという世の中の動きでして、先日のタイキに出された行政指導などもその一環なのでしょうけど、ここにきてお上が公権を使い出したという事ですかね。こうなってくると、業界は「最強の建前論者」を相手にすることとなるわけですから、少しはまともになるという可能性が残されています。

話があっちこっちに派生しましたが、とりあえず一つ言えることは、ダーレーに馬主資格をやるなら、社台やマイネルの会員にも、当然俺様にも馬主資格をよこしやがれってことですかね(笑)。大体、JRAの小役人ごときが人様の財布の中身を覗いて、「馬主として資格があるか審査する」って、ザケンナボケって話だと思いませんか?「その前に天下り役人の退職金を審査しとけよ、カスが」みたいな。

まぁアレだな、ダーレージャパンもJRAから免許を交付して貰うというだけで、ある意味「精神的負け犬」と言えないこともありません。やるならやるで、それこそオーロパークを買い取って、自治体と共同で競馬開催を行うぐらいのスケールを見せてくれると面白かったのに思ってしまうといいますか、全然普通やんみたいな印象は受けますな。

まー、とりあえず馬主なんてものは、酒の席で馬鹿話や愚痴をこぼしているぐらいが丁度楽しいレベルなのであって、あんまり面倒な事が多いとイヤンな感じではあります。所詮、競馬は娯楽産業、楽しくないと嘘だと思いますね。

投稿者 Jyoukan : July 6, 2007 01:20 AM
コメント

こんばんわ。
タイトルの通り、いよいよという感じです。
僕のような牧場規模では、特に影響を感じないのですが・・・
やはり社台GやBRFなど大手牧場、オーナーブリーダーは戦々恐々でしょう。
一番美味しい未勝利&500万下の入着賞金をどこまで、ダーレーに奪われてしまうのか。
審査基準でばかり議論していたため、逆にダーレーに
続いてきそうな外国人馬主にとっては審査をパスしやすくなったように感じます。
条件付きでよかったから(内国産所有率50%等)最初にOKしたほうが影響は少なかったように感じます。
いつも後手後手と感じてしまいます。
すでに何人かの調教師とのラインもあるようですから
しばし動向に注目です。
今回のセレクトもですね。
僕も2日目に手伝いで行きます。
よかったら声掛けてください。
唯一のステイG当歳を持ってますので。
それでは

Posted by: 日高町の若林です : July 6, 2007 08:15 PM

こんばんは。

ダーレージャパンは、種牡馬を擁するような大手と、オーナーブリーダーにとってはライバルなのでしょうけど、多くのマーケットブリーダーにとっては有力な顧客が増えたという一面もあるわけですから、結局は立場の違いによって「脅威」にもなるでしょうし、「福音」にもなるだろうというのが普通の読みだと思いますね。

なお、セレクトセールですが、私は初日のみでお暇いたします。高馬の当歳を買えるような馬主層ではありませんので(笑)。

Posted by: 浄閑 : July 6, 2007 09:09 PM