April 05, 2005

戦い前日

今日は明日からはじまるイングリス・イースターセールのための下見日です。約一年ぶりとなるランドウィックにあるイングリスのセール会場についた私は、エージェントの岡さんと再会し、事前にリストアップされた購買候補馬達を見て回ることになりました。

この時点での私の思考は、とりあえずリダウツズチョイス、ジャイアンツコーズウェイ、フサイチペガサス、アナバー、デヒア辺りの注目&人気種牡馬は予算内で落ちるとは思えず、これらの種牡馬で仮に安い値段で落札される馬がいたとしてもそれだけのリスクが存在する可能性が非常に高いので対象外。中堅種牡馬で実績を出している種牡馬か新種牡馬の産駒の中から出来の良い馬を買うというものです。

具体的には、初年度産駒が走ったので一番レベルの高い繁殖がついた世代となるカーネギー、新種牡馬で競争実績十分ながらステイヤーなので人気がそんなに出ない可能性があるファンタスティックライトとガリレオ、晩成気味なら人気が出ない馬もいるだろうと思われるスピニングワールド、新種牡馬ながらDanzig系のミナルディ、同じく新種牡馬のトラディショナリー、100頭以上のステークスウィナーを出しているものの最近成績が落ち始めているロイヤルアカデミーといったところに狙いを絞るつもりでした。

戦いの場・ランドウィックにあるイングリス社ニューマーケットステーブル

セール会場は既に馬を見ている方がいっぱいで、森調教師、岡田総帥、吉田勝巳氏など日本の著名なホースマンの方々も当然のごとくいらっしゃいます。他にもモハメド殿下の代理人ジョン・ファーガソン氏とティム・ステークマイヤー氏、サーの称号も持つNZのパトリック・ホーガン氏、アローフィールズスタッド牧場主でオーストラリア生産者団体代表のジョン・メッサーラ氏とまさにVIPだらけ。道行く私が知らないだけの人々の多くも、それこそ調教師であったり、何億円も財産を所有している大金持ちなのでしょう。

そんな中を日本で馬主資格すら持っていない人間が馬を見て歩くなど、客観的に見れば「冷やかし」でしかないわけですが、当の本人は胸に秘する決意を持って参加しています。

「オーストラリア最高峰のイヤリングセールで馬を買う」という強い意思。

それは阪神開催の時には競馬場までせっせと通い、遠方開催の時にはウィンズの階段に座り込み、10数年来イチ競馬ファンとして、日本の競馬に関わってきた私の「意地」でもあります。カナンダクィーンは、そんな私がオーストラリアで見た「夢」でした。そして今回購買するだろう馬は、一年前、初めて馬を買ったその日から次の馬を模索し続けてきた私の一年間という時間の集大成となります。ここにいる多くの方にとっては、ただの安馬の1頭であろう走る馬を捜し求める・・・そのために場違いは百も承知で私はこのセールに参加しているのです。

実際の下見は千代田牧場社長の飯田氏、シンコウやウィンに所属する競争馬の仕入れなど相馬師として非常にご高名な鬼塚氏と行動をともにさせていただき、色々とまたご教授もいただきました。昼食なども会場内に設置されているテントでご一緒させてもらえ、非常に有意義な下見だったと思います。

やっぱりプロはもう私みたいな素人とは知識の絶対量が違います。ガルチの系統は管囲の無い馬が多く、サンダーガルチ産駒もその影響を受けやすいなど、これまでに聞いた事のない「馬に関する情報」が会話の中で無限に交わされます。私は少しでも情報を得ようと、ずっと聞き耳を立ててました(笑)。

またこの日は別にビッグニュースが・・・。Kanandah Queenが4/2のオープン戦ではなく、3/30のエマンシペーションS(G2)に出走するという知らせです。アクセプタンスを済ませたのは全部で9頭。しかしほとんどが重賞勝ち馬であり、GIレースで2着にきたような馬も3頭いるという強敵揃い。ここで勝てというのは正直無茶ですが1着賞金$162,500というビッグレースです。2着でも賞金が$50,000なので予算が大幅に増える可能性も0ではありません。

「これはえらいことになってきたな・・・」

下見が終わり、暮れ行くイングリスにあるいちじくの木の下で、カタログに汚い字で書かれた岡さんから頂いたコメントと自分のコメントを見比べながら、私はまずは考えを整理して極力冷静になろうと努めるのでした。

世界中から一流馬を求めるバイヤーがこのいちじくの木の下に集まります

投稿者 Jyoukan : April 5, 2005 12:53 PM
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